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?物流関連技術の進展と高度化の動き

[物流関連技術高度化の進展]

これまで、様々な技術革新の進展は人びとの生活の利便性や快適性の向上に大きく貢献してきたが、今後も情報通信、エレクトロニクス、新素材、環境・エネルギー等の各分野で新しい技術の開発が見込まれており、産業活動や人びとのライフスタイルに大きな変化を与えるものと考えられる。

特に、ISDNサービスの提供地域の拡大や、衛星放送等の情報化等にみられる高度な情報通信ネットワークの整備は世界的に展開されつつある。

物流においても荷役の省力化、包装技術、輸送技術をはじめ、高速貨物船テクノスーパーライナー(TSL)の導入が検討されるなど、関連する技術革新が進展している。

 

物流技術の進展予想(2001年)

分類 システムまたは機器 コメント
輸送 輸送期間の高速化 在来線の高速化と新幹線貨物輸送システムの実用化。

高速道路整備と最高速度制限の引き上げ(例えば80→100?/h大型と他車との制限速度統一化。

内航高速貨物船の実用化(現行14〜17→40〜50ノット)

トラックの大型化 重量大型化は実現幅、高さは予想困難
トラックへの情報端末機器の搭載装備化 情報システムの業種を超えた広範囲なネットワーク化により、装備車両が飛躍的に増加する
トラック車体架装 平荷台車は特殊貨物輸送用、一般貨物用はバン型かウイング型、バン型では貨物積み卸しの自動化システムとの関連づけ
コンテナの多様化と特殊化 寸法(長さ・高さ・重量)の多様化、返り荷の確保を考慮に入れた特殊コンテナ(例えばコンテナインバック方式)の増加
荷役運搬(生産物流を除く) 貨物ターミナルでの自動化荷役運搬システム 国際海上コンテナターミナルヤード作業では相当進む

鉄道については、拠点が分散されるので海コンほどには進まないであろうが、一部の大拠点での自動化システムが出現するであろう

トラックターミナルでは、大拠点での現在施設のリプレースの際に高度化した自動化システムが、また中小拠点でも部分的な自動化システムの採用が進むであろう

配送センター 生産企業や大型小売・卸売業では在庫と配送問題は企業戦略に密接に関連するので今後とも重要視され情報化と自動化が進む トラック事業者も上記企業の単独あるいは複数受託による保管・ピッキング・仕分け・配送等のための配送センターが増加し 、荷役運搬の自動化システムが顧客企業システムとの一貫性を保つために、多く採用することになろう
貨物積み卸し用ロボット 寸法・形状の多用な少量多品種貨物を、個別にトラックあるいはロールボックスパレットへの積卸しを 行う、視覚センサー付きのロボットが実用化され、単純労働分野の圧縮、24時間作業体制の組立、労働時間の短縮などに寄与するであろう
無人フォークリフト 少量多品種ではない製品倉庫や営業倉庫では多く採用されるであろう
自動仕分け機 小規模の少量多品種貨物の保管配送お行う配送センターやトラック事業者の荷捌き施設にも多く使用されよう
自動ピッキング機器 倉庫・配送センターの商品の種類、アイテム数、出荷単位、出荷先件数等により自動化の必要度は多様であり 、完全自動化は一部で、半自動化が大部分であろうただし、情報システムとは密接に結びつけ、作業単純化と移動距離の短縮化を図った 作業方式と機器で行われよう
保管 立体自動倉庫 単独または複数の顧客企業の保管配送センターとしての役割受け持つ物流事業者において、 他頻度出入庫・在庫管理公立化・運搬自動化等のために使用が増えるであろう 一定規模以上の作業条件の難しい冷凍倉庫においては大部分で採用されよう
水平回転棚・垂直回転棚 化粧品・雑貨・各種部品等の小物商品のピッキングとの関連で使用が増えるであろう
荷造り包装 自動箱詰めシステム 生産ラインオフにおける自動箱詰めシステムは相当進むであろうが、ピッキングの後行程での自動箱詰めシステムは セット商品を除くと非常に難しいであろう
輸送容器(ダンボール箱等)

包装材料・緩衝材料

変化予想困難、ダンボールに替わる新素材が現れるか、輸送容器としての機能を保持する 範囲内で緩衝材を含め省資材・サイズの縮小・軽量化が図れるか
情報システム 貨物追跡システムの広範化 顧客企業と物流事業者間や関連する輸送期間相互間の物流システムの結合が進むであろう
標準物流シンボル(バーコード)の利用拡大 昭和62年3月にJIS化されたが、自動化システムにおける識別装置の標準化、情報処理での共通化等から 広く利用されることとなろう
トラック車載情報端末機器 トラックの使用や作業内用の入力、バーコードの読み取り、バーコードラベルの印刷、 運賃計算用機器の搭載などが一般化するであろう
手書き文字の読み取り入力装置 小企業や一般消費者の手書き住所氏名等をイメージで読み取り、装置内部で文字化し、 以降の情報処理、伝票処理、仕分け・照会・配送時の卸し順積み込み指示などへの活用されよう
トラック・コンテナ等の個別識別のためのコード化と識別装置 貨物追跡システムとの関連、トラック・コンテナ等の運用・保守管理人の情報入力効率 化のために利用されよう
出所)2001年の物流技術(松村栄一:季刊 輸送展望 ’89冬)

 

 

 

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